高齢者の財産管理の必要性

不動産、株式・投資信託、預貯金等様々な財産を保有していると、管理会社・証券会社・銀行の担当者とのやり取り、毎年の確定申告など財産管理に関して、様々な対応が必要になります。本人が心身ともに健康で認知能力に問題がない状態であれば財産管理には何も問題はありません。
しかし、高齢になるにつれて銀行等の担当者とのやり取りがおっくうになったり、やり取りの内容が理解しにくくなるという現象が生じます。そうすると、本人側としては、判断を先送りして問題を放置することになります。銀行等の担当者側からすると、認知能力が落ちている本人に対して、突っ込んだ提案はしにくいため、最低限の現状維持的な提案に留める無難な対応を選択肢するようになります。
このような状態になった場合の不利益は、収益物件に特に顕著です。あるケースでは、オーナーが物件管理に全く対応できなくなり、必要なトラブル対応や修繕が行われなくなかった結果、物件の共用部分がゴミだらけになり、賃料を滞納したまま行方不明になる入居者がでてくるような状態でした。その結果、新規の入居もきまらずこの収益物件は荒れ果てたまま空室で放置されるという負のスパイラルに陥ってしました。
本人の状態に応じた財産管理が行われていないという状況は、資産価値の低下だけでなく、将来の相続対策との関係でも非常に大きな足かせになります。
財産管理の必要性が意識される事案の多くは不動産を所有する資産家のケースです。このようなケースでは将来の相続税対策の観点も踏まえて、既存の土地にアパート・テナントビル等の収益物件を建設することが一般的ですが、本人の認知能力が低下している状態に適切な対応がされていなければ、融資を受けることは難しくなります。
高齢の資産家の場合、資産価値の維持・将来の相続対策という観点から、本人の状態に応じた財産管理が行われていることが大変重要になります。

また、本人の状態に応じた財産管理を行うということは、資産価値の維持・将来の相続対策といった財産的な観点とは別の観点、『本人の生活を守る』という観点からも非常に重要です。
本人の認知能力が低下した状態で、そのキャパシティを超える財産管理を行うということは、本人にとって不安・苦痛でしかありません。本来、本人の財産は自分や家族の生活を豊かにするために利用すべきですが、上記のようにキャパシティを超えた状態では、財産管理が本人の生活を圧迫する原因になってしまっており本末転倒です。本人が安心して日々の生活を送るには、本人の状態に適した財産管理の方法を構築することが重要です。

高齢者の財産管理と相続対策の連続性

相続は、相続の発生→資産承継→資産管理→相続の発生というサイクルで循環しています。相続対策は、資産管理から相続発生に向けた準備として行われるものですので、財産管理と連続性があることは当然とも言えます。

しかし、このような連続性があることにより相続が円滑かつ効果的に行われるわけではあありません。相続が円滑かつ効果的に行われるには、財産管理と相続に至る過程において、本人と承継人との間で、資産の情報・管理ノウハウなどが共有され、これらが財産管理から相続まで連続性を保っていることが重要です。

本人が元気なうちは、専門的なことがらは税理士・管理会社等に依頼した上で、本人が適宜財産管理を行うことに特に問題はありません。ところが、本人が高齢になり、認知能力が衰えてくると、それまで問題なくできていた確定申告の準備、管理会社とのやり取りなどが満足にできなくなってきます。

そこで、家族が本人に代わって財産管理を行うようになります。

この過程で財産管理を代行する家族は、本人の財産内容や個々の財産の背景、法的な問題点などを徐々に把握するようになります。このような情報を把握する作業は、相続対策に着手する前段階として重要であり、関与の質・密度が後の相続対策にも影響してきます。

また、相続対策の前段階である財産管理段階において、本人の認知能力に応じた適切な法的制度を利用しておくことは、後に相続対策で財産処分(特に不動産の売買・建築)・融資を受けることを法的に可能にします。本人の認知能力が低下しているにもかかわらず放置し、いざ相続対策を行う段階で認知能力の低下に対応しようとしても、補助・保佐・法定後見程度しか利用できず、有効な相続対策をとることは難しくなってしまいます。

このように相続対策の前段階である財産管理の段階で適切な法的な措置・質の高い家族の関与がなされたかは、その後の相続対策に重大な影響を与えることから、両者は実質的には連続した一体の関係と考えても良いでしょう。

図3

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