相続対策の心構え

相続対策を進めるにあたっての留意点は「相続対策の視点」でご説明いたしました。
相続人の客観的な属性・生活状況、遺産の性質・内容を踏まえて検討すれば、ある程度幅はあるものの合理的な資産承継・遺産分割の方法を定めることはできます。

しかし、その基本方針は第三者である専門家が他人の目線で作成した方針に過ぎず、相続人の真の理解を得ることは難しいと言わざるを得ません。資産規模が大きい相続になると、様々な事情が入り組み、法定相続分に近いような遺産分割を行い、各相続人が取得する資産価値が公平になる相続を実現するのは難しくなります。

このような場合において、不公平にも見える遺産分割に相続人が納得するのは、相続人が長年見続けてきた本人の言動に照らし合わせて、それが本人の真意に基づいた決断だと理解できるからです。遺言の内容に不満が噴出し、ときに遺言の効力までが争われる事態になる事件の多くで、『本人の生前の言動と遺言の内容があまりに違い過ぎる』、『長男に言われるままに作成した遺言だ』などと語られています。

相続対策の一番の当事者である本人には、客観的な資産状況を踏まえた上で、他人の言いなりではなく、悩みぬいた上での本人の真意に基づく判断が求められます。その上で、遺産分割で取得する財産額が公平にならない場合は、取得額が少なくなる相続人の立場に十分に配慮したことが伝わる内容とすることが重要です。

また、資産承継・遺産分割の方法について、全相続人の納得・理解を得るには、資産を多く承継する相続人に対して、それに応じた責任と能力を求めることも重要です。承継する資産に応じた責任を負い、資産を管理し、責任を全うし続けるに足る能力があると評価されて初めて、資産承継・遺産分割の方法についても他の相続人の納得が得られます。『長男』という理由だけで責任を負わず、また、多くの資産を承継し、管理する能力もないものを優遇することは避けるべきでしょう。

同様のことは資産を多く承継する承継人にも妥当します。

他の相続人よりも取得する資産が多い場合は、承継人が他の相続人から、それにふさわしい能力があること、責任を間違いなく全うすると信頼されることが必要です。それにふさわしい能力も責任感もない方が『長男だから』との理由を振りかざして紛争化した事案は枚挙に暇がありません。

相続対策を如何に理論的かつ合理的に練り上げたとしても、相続対策の主体である本人と承継人に対する信頼がなければ、相続対策に対する他の相続人の納得も得られません。相続対策を進めるにあたっては、以上の点に留意していただきたいと思います。

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